美しい生き物になりたい

美しい生き物になりたい
荒木田慧の詩集 心の詩より
美しい生き物になりたい

あなたに見合うような
あなたの目に
もう私いがい映らないような

神経が見えちゃうほど
ゴリゴリにけずられた
綺麗すぎてかなしい
彫刻みたいに

いつもおでこの前に
太い矢印が出てて
歩いてれば着くから
迷いなんて知らない

どんな理不尽でつまんない
どこかの誰かの怒りも
落ち着きなよ先は長いぜ、って
かるく笑いとばして

みえないものの法則に
ある日もし気づいても
大声でわあわあ
騒いだりしないで
大切なものもそうじゃないものも
違いなんてないみたいに
自分の引き出しにそっと
放りこんでおく

自分はばかだって言ってて
自分がばかだって知ってて
それでぜんぜん何にも
問題ないってことも知ってる

当たり前みたいに
自分のことが好きで
おなじくらい当たり前に
誰かも好きになっちゃう

縛られるのがきらいで
それとおなじくらい
縛るのもきらいで

傷つかないから自分は
誰かを傷つけるのが怖くて

何も期待してないから
愛もおくりものも
片道でいいんだって知ってて
見返りになにか
ありがとう、の一言さえ
誰からも奪おうとしない

神様みたいにつめたくて
神様みたいにやさしいけど
たぶん動物なみには
きっと脆く弱く

その脆さや弱ささえ
おそらく愛している

生きていることがたのしくて
ずっと生きたいと願うくせに
いつ死んだっていいと
そうも思っている

そういう
美しい生き物

みんなみんなみんな
きっと好きになってしまう

私も

美しい生き物になりたい
あなたみたいな

美しい生き物になりたい









2018年8月9日

他の心の詩