パリなんか行ってたまるか!

パリなんか行ってたまるか!
荒木田慧の詩集 生活の詩より



パリにすんでる
絵を描く男と
テキストでやりとりした
(全然よく知らないやつだけど
話せそうなやつはすぐわかる)

ヨーロッパ
行ったことないって言ったら

「アジア人差別が強いからオススメしない」

と言ったけど

わたしはゴリゴリの差別
いちど経験してみたい
高校のとき
ニュージーランドに転校した
クラスメイトのスカした女の子が
生卵
ぶつけられたとかぶつけられないとか
聞いて
なんか興奮した
痛いだろな
惨めだろな
そんなことされたら
いったいどんな感情が
肚の中に渦巻くんだろう
わたしはそれを経験してみたい
ワクワク


詩の人
みんなフランスに来たがるんだってさ

わたしは音楽やってたけど
音楽の人もみんな
フランスとかドイツとかの
ヨーロッパ
白い国にばっか行きたがってて
帰って来たやつらは
ちょっと偉そうで
黄色い自分たちは
どっか足りないみたいで
なんかムカついたから
音楽はやめて
茶色い人の国にあこがれたりした

大人になって
新宿の英会話学校ではたらいて
学校にはいろんな肌の先生がいたのに
ポスターやコマーシャルに出てくるのは
やっぱり白いやつばかりで
なんかそれもすげームカついた

白いやつらにっていうより
白いやつらを
白いってだけでありがたがる
黄色いやつらが大嫌いで

でもなにが一番ムカつくって
自分のなかにも
なんかそういうものが
少しあるからで
これは小さい頃から
なにかに刷り込まれたもので
ああ
ムカつく!!

だからなんか
学校の目の前に
スターバックスがあって
そこでたぶん生徒もスタッフも
おしゃれっぽいだけで美味くもないコーヒー
買ってたみたいだけど
なんかそういうの
わたしはいつもすげームカついてて
白いやつらに負ける気がして
あんなぺらぺらの場所
行ってたまるかと思って
はたらいてた間一度も行かなかった
わざわざ遠くの
ドトールまで行ってた

前にNHKで
ヨウジヤマモトか誰かが
ヨーロッパの建築物
黄色い人がみんな崇めるやつ
あれを
「きもい」
って確かそんなふうな意味に
表現してて
わたしはその感性
いいと思った


「ヨーロッパで詩の朗読してみなよ
もっと自由になれるかも」

と言うから

行ったら泊めてね!って

パリなんてほんとは
ムカつくから行きたくないけど
モーパッサンがエッフェル塔が嫌いで
エッフェル塔なんか
目にも入れたくないほど嫌いで
だからわざわざ
毎日エッフェル塔行って
そこでご飯食べてたって
バカみたいなエピソードは好きで

エッフェル塔に蹴り入れに行くかな!

と言ったら

「蹴り入れにきなよ」

と言うから

お前にも入れるぞ!

と言ってやった

そのひとは

私より6つくらい歳下だと踏んでたら

ひとまわり以上も上でした

でもさ
女で歳下だっていう
なんの努力も要らない
アドバンテージだけで
どんな暴言吐いたって
だいたいは
ひきつった笑いで
ゆるしてもらえるんだから
ああ
女に生まれてよかったなあ

(歳上の男のひとって
いいよね!!!
さらに絵とか文とか歌がうまいと
もう さいこう!!!)

なんてこと考えながら

群馬のクソ田舎の
スーパーのイートインスペースで
ひとり
カップヌードル(BIG)を
啜っています

なんか男の話になっちゃったけど
会いたい人がいるなら
フランスだってどこだって
アホみたいなツラ下げて
のこのこ行くけどさ
これだけは言っとく

「パリなんか
行ってたまるか!」









2018年6月14日

他の生活の詩