わたしには金がない

わたしには金がない
荒木田慧の詩集 心の詩より
わたしには 金がない
(だから、言っておく。)

わたしには 考える 頭がある
(自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。)

わたしには 脈打つ 身体がある
(命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。)

わたしには よく見える 対の目がある
(空の鳥をよく見なさい。)

わたしには 束ねられない 自由がある
(種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。)

わたしには きょう腹を満たす 食物がある
(だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。)

わたしには 生きていていい 価値がある
(あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。)

わたしには 頼んでもない 命がある
(あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。)

わたしには 震えずにすむ 服がある
(なぜ、衣服のことで思い悩むのか。)

わたしは ものを 観ることができる
(野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。)

わたしは 一日 ぼーっとしてていい
(働きもせず、紡ぎもしない。)

わたしには 聴こえすぎるほど 耳がある
(しかし、言っておく。)

わたしには 良き友のくれた 智慧がある
(栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。)

わたしには 愛情深い 神がいる
(今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。)

わたしは みえない それを信じている
(まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。)

わたしは まったく 悩むことがない
(だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。)

悩み苦しむ ひとではないから
(それはみな、異邦人が切に求めているものだ。)

神様は もう知っている
(あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。)

わたしの 愛を 知っている
(何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。)

わたしは この世の 誰より豊か
(そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。)

わたしには 白い明日がある
(だから、明日のことまで思い悩むな。)

白くかがやく 明日がある
(明日のことは明日自らが思い悩む。)

悩むのやめたら この世のすべて
わたしは なんでも もっている
(その日の苦労は、その日だけで十分である。)











(引用元: キリスト教「聖書」マタイによる福音書第6章25節から34節)

(私は無宗教者でキリスト教徒でもなく、聖書を全部読んだことはありませんが、マタイによる福音書のこの一節が好きで、それを副旋律に使った詩を書きました。)

2018年5月26日

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