オザケン

オザケン
荒木田慧の詩集 「恋愛の詩」より
いちばんあいされてたころの話
してた男が

あの日々はオザケンだった

と言った深夜 そのとき
わたしのイヤホンからは
「天使たちのシーン」が
ながれていたので
今ちょうど聴いてると
そう伝えたら

きみもオザケンすきなんだな
じゃあおれのオザケンおくるよ


言ったので
わたしはその好きな男が
送ってくれるという
かれのオザケンをまってた

でも男はいそがしくて
わたしなんかとの約束
わすれてしまってて

なかなかオザケンは届かず
わたしはやきもきして

あなたのオザケン
わすれてると思うけど
一生まってるから



そう伝えた
そしたら

ああ忘れてた
おれのオザケンおくるよ


また言ったから
また待ってたのに

まだ
あなたからオザケンはとどかず

そんなに何度も
あなたのオザケンばかり
催促するのも野暮なので

思わずわたしのオザケンを
先にあなたに送ってしまって

でもそれでもまだ
あなたからオザケンはとどかず

わたしはきょうも正座して
あなたのオザケンを
まっています

(オザケンは文学)
(と)
(あるひとが言ったが)
(わたしは叫びたい)

(オザケンは愛)
(愛 そのもの)









2018年5月10日

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