消失点

消失点
荒木田慧の詩集 生活の詩より


ある夜 あなたは
異国のとおいまちから
電波信号に乗せ
一編の詩を
私に送信した

私はここで それを受信し
手のひらの明滅のうえに ひろげて見
異国の言語でかかれたそれを
すぐには理解することができず

すこし じかんを ください



そんなふうに いった

そうしたら あなたは

この詩は

意識の流れ

というものだから

隠されたイミを

わかろうとしなくていいんだよと いって

その詩をすぐに 消してしまった

(わたしはあなたのそのゼスチュアを
とても貴いもののように かんじました)

詩は失われた
永遠に失われた

未消化の
印象の
残像だけが
永遠に残り

わたしはそれをそこにそのまま
とどめておくことにした









2018年5月5日

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