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荒木田慧の詩集 「心の詩」より
「泣くようなことは何もないよ」
とあなたが言った
もう何もないから泣いてるんだよ、
と私は思って
でもそんなこと言えなかった
「泣いてるときに側にいなくてごめん」
とあなたが続けた
あなたが隣にいたらきっと私は泣けない、
と思った
思ったけどそれも言えなかった
「泣くようなことは何もないよ」
と私は言った
何もないはずないじゃない、
とあなたに言い返して欲しくて
「泣いてるときに側にいなくてごめん」
と私は続けた
受話器、置きたくなくて
私も泣いてるって
あなたに悟られたくなくて
2018年8月12日
とあなたが言った
もう何もないから泣いてるんだよ、
と私は思って
でもそんなこと言えなかった
「泣いてるときに側にいなくてごめん」
とあなたが続けた
あなたが隣にいたらきっと私は泣けない、
と思った
思ったけどそれも言えなかった
「泣くようなことは何もないよ」
と私は言った
何もないはずないじゃない、
とあなたに言い返して欲しくて
「泣いてるときに側にいなくてごめん」
と私は続けた
受話器、置きたくなくて
私も泣いてるって
あなたに悟られたくなくて
2018年8月12日
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