鬼
荒木田慧の詩集 家族の詩より



あのひとは見舞いにもこない

あなたは言い

見舞いにくると今度は
あのひとは長居しすぎる
と言う

あなたは結局
さみしいさみしいと
この痛みをわかってほしいと
そう
訴え続けているのですね

ねえ
さみしいならさみしいと
わかってほしいならわかってほしいと
素直にそう言いなさいよと
言わなきゃ伝わんないよと
私はあなたを
咎めてしまう

それをあなたが
言えないのを知っていて

わたしは鬼で

ベッドの上で
痛がるあなたに
冷えた目をして金棒を振り下ろす鬼で

あなたにそんなこと言えないくらい
私の気が弱いか

あなたがさみしがるのをそのまま
さみしがらせておけるくらい
気が強いか

そのどちらかならいいのにと
そう願う
厳しい厳しい
ただの鬼です









2018年7月11日

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