母
荒木田慧の詩集 家族の詩より
ちいさいころ
おかあさんが
たばこをすうのが
いやでした

かんきせんのしたで
とおい顔をして
わたしたちのこと
みてくれなくて

おかあさんは
わたしたちより
たばこを
あいしてるように
おもえて

サインペンと紙とセロテープで
禁煙シール
つくって
かんきせんのしたに
はったけど
おかあさんはそれを
はがした

かなしくて

わたしは
ぜったいに
たばこなんか
すうものかと
こころに
きめました

おとなになったいま
30をすぎて

あの頃の ちかい 虚しく
わたしもまた
たばこを すうようになり

わたしはやっと

おかあさんは
わたしたちを
あいしていなかったどころか
わたしたちを
あいしたくて
わたしたちを
あいすために
ただ
そのためだけに
あのころ
かんきせんのしたで
たばこをすっていたのだと

わたしはやっと
わかりました

いま
あなたと すう
たばこ
あい みたいな あじがして

おかあさん
おかあさん

わたしは
おかあさんが
だいすきです









2018年5月21日

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