消費

消費


あなたが出たいと言うので
電車にのり
日曜の街へ行きました

躁病患者のような
不自然にあかるいショッピングセンターで
あなたの靴とシャツを買い

それから

夏もののクッションカバー
パイナップル柄の寝巻き
塩胡椒のガラスびん
小さなタオルハンカチ
「海岸線」と書かれた白と水色の帽子
スケッチブックとノート
ギターのカポタスト
白いイヤホン
スペアミントの苗

そのような雑多なものを
猫の膀胱のように浅薄な
プラスチックの袋に詰め
私たちは帰途につきました

その道
それらは重さを増し
いよいよ錨のように
私の船をとどめ

私はふと

今すぐ手を放し
それらをそのまま
道端のゴミ捨て場に
置いて行きたいという
切実な衝動にかられるのです

明日になれば
きっと青い車がやってきて
顔のないふたりの男たちは
朝に沈殿したそれらを回収し
焼却炉に放り込んで燃やし
けむりは空にのぼり

そうすれば私は
少しだけ報われるかもしれない

しかしそのためには
あまりに掌も指も硬く
私は呪うような顔をして
家に帰る

床にすわり
嘘のビニールをむき
目の前にちらばった徒労をみて

私はあなたに気づかれぬようそっと
今日の消費に
ため息をつくのです









2018年4月24日
生活の詩より