部屋の電球が切れてる

部屋の電球が切れてる
荒木田慧の詩集 生活の詩より
猫くさい布団にくるまって
さんざん散った私をあつめて年を越した
いくらかは返ってこなかった

年末に会った男

Aにもらった金で懐はあたたかかった
Bにもらった風邪でどこにも行けなかった
仕方ないから
いちばん若くて線の細いCに
当たり屋みたいなひどい八つ当たりして過ごした

部屋の電球は切れてる
しばらくずっと切れてる

祖父が死んだあと
東欧の女が寝起きした
この部屋の朝は暗い
昼は薄暗い
夜はいちばん暗い

切れたままでいいよ
消えたままでいいよ

なんかもうもともとが
ちょっとだめみたいなんだし

冬至とか、とうに過ぎて
夜はもう満ちたから
そのうちじわじわ
昼のほうが長くなるんでしょう

まだ年号もわかんない正月
(ふざけるなよ)

この音楽が鳴り止んだら
何かはじめようと思うけど

一向に
終わる気配がないので
まだ何も
はじめずにいる

何ひとつ
私のせいじゃない

部屋の電球が切れてる

誰かのおかげとかじゃ
ないし

全然、誰のせいでもない









2019年1月4日

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