君は聞き分けが悪い

君は聞き分けが悪い
荒木田慧の詩集 心の詩より
11月生まれの
君は聞き分けが悪いね

言い訳の上手い私は
無駄に12月生まれ

誕生日をずっと
教えてくれなかった彼は
べつに何のことはない
4月生まれだった


夏、彼に「書く」と宣言して
書けなかった詩の題は
「ヒルズトップ幼稚園」と
「バーコヴィッツ」の2つで

バーコヴィッツて誰、調べたら
連続殺人鬼と芸術家の2人いたけど
私が書こうとしたのは
どちらのバーコヴィッツだったか

ヒルズトップ幼稚園は
「ヒルズトップ・ハイツ」
私たちが一緒に暮らそうと
話してた架空のマンションへの
パロディというかオマージュだった

フィクションに捧ぐフィクション
詭弁に次ぐ詭弁

冬になって
彼は去り
私は乾燥し
また1つ
くだらない歳をとったが

未だ

ヒルズトップ幼稚園は存在しないし
バーコヴィッツは
どこにもいない

私の書くバーコヴィッツは
きっと芸術家で連続殺人鬼で
よく晴れた4月の
火曜日の朝
新聞でも買いに行くような気軽さで
泥まみれの青いトラクターに乗って
ヒルズトップ幼稚園に向かうだろう
悲鳴を上げるエンジンに唾を吐き
小気味よい口笛を吹きながら
助手席に猟銃を乗せて
(ほら暴力は愛にとてもよく似ているから)

予測可能な惨劇

だから私は書かないでいる


4月生まれの彼は
自分の誕生日なんか
けして言いたがらなかった

「まだ生まれるかも迷い中なのに」

しつこく聞いたのが
いけなかったね


助手席の猟銃のまま
つめたい銃身を持て余して私は
揺られている
12月の朝

11月生まれの
聞き分けの悪い君なら
後部座席のチェーンソーで
いなしてくれるだろうか

「言い訳が下手だね」って
無駄に言い訳の上手い私を









2018年12月31日

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