深呼吸

深呼吸
荒木田慧の詩集 心の詩より
呼吸がどうにも苦しくて
あさ
早く起きて
家の前に立って
深呼吸をしていた

胸がはちきれるほど深く
息を吸っていたら
隣のうちの小母さんが
前を通りがかって
そんなに欲張ったらだめよ、
と笑って
すぐに去って行った

肚の底から深く
息を吐いていたら
裏のうちの小父さんが
前を通りがかって
ため息なんかついてると幸せが逃げるぞ、
と笑って
どこかへ去って行った

私は構わず
深呼吸を続けた

たくさん欲張って
たぶんそれはだめで
何度もため息をついて
きっと幸せが逃げた

そう
する
しか
なかった
から

呼吸は
あんまり
楽に
ならなかった
けど









2018年8月16日

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