かんぺきじゃないわたしたち

かんぺきじゃないわたしたち
荒木田慧の詩集 「心の詩」より
あなたの
欠けているところが
すてきだとおもった

肥大したわたしとなら
かんぺきに
なれるのかな、なんて

でも
ふたりでいたって
ちっとも
かんぺきになんか
なれなくて

ふたり
肥大したままで
欠けたままで

日が暮れるまで
ベンチにならんで
4本のあしを
2本ずつ
ぶらぶらさせながら
途方に暮れていて

4つの目の前を
ひとつの夕陽が
ゆっくりと海に
しずんでいった

わたしたちは
2つずつの目で
それを見ていた

かんぺきにうつくしいね、
とわたしは呟いた
ほうっ、とため息をついて

お腹がすいちゃった、
とあなたはボヤいた
はーっ、とため息をついて

わたしたちは
夕陽でもなく
海でもなく

いつまでたっても
余ったまま
足りないまま
それでもいつまでも
座っていた
ふたり
ひとつのベンチに

夜がおりて来て
夕陽も海も
見えなくなって
波の音と
おたがいの息づかいと
心臓の音しか
聞こえなくなるまで









2018年7月30日

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