100点の男

100点の男
荒木田慧の詩集 恋愛の詩より
気がついた頃には

みんな持ってて

赤ペン

わたしに

マルやバツをつけた

0点もらってがっかりしたり

120点もらって焦ったり

でもいちばん悔しかったのは
50点もらったときで
可もなく不可もなく、って
何それって思った

年ごろになって

まわりの女の子たちは
100点の男の人
探してるように見えた

わたしは
わたしに100点くれる人を探した

なかなかいなくて

はじめは100点くれても
だんだん減点されて
わたしはすり減っちゃった

やっと

わたしにずっと100点
くれそうな人
みつけたけど

わたしの解答用紙は
もうびりびりに破けていたから
こわくて

あなたと初めて会うとき

わたしは
待ち合わせ場所の
ショッピングモールの
一階の時計台じゃなくて
ズルして
二階の吹き抜けの
手すりのところから
あなたを探した

この人はほんとに
100点
くれそうかなって

でも

あなたは
あらわれたあなたは
赤ペンなんか
持っていなくて
手ぶらで

でも

疑り深いわたしは
ポケットに
隠してるんじゃないかなって
赤ペン
まだじっとみてて

そしたら

あなたはおもむろに
ズボンのポケットに手をつっこんだから
やっぱり、と思った
あーあ、って

そしたら

そしたらあなたは
くしゃくしゃの包みを取り出して
のんきそうに
たばこなんか吸い始めて

それをみたわたしは
安心して
すごく安心して

わたしの解答用紙
もうびりびりだったけど
こなごなにして
二階から降らせて

それに気づいたあなたは
わたしを見上げて

目が合って

わたしたちは
会ったことなんか
なかったけど

わたしたちは
わたしたちだと
すぐにわかったから

目を見て
笑って

わたしはすぐに
あなたのところへ
降りていって
あなたに
飛びついた
思いきり

100点なんか
いらないって
うれしくって









2018年7月20日

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