ゴミ

ゴミ
荒木田慧の詩集 心の詩より


わたしはわたしをゴミだと思った
だからまわりのみんなみたく
ゴミじゃなくなれるよう
がんばろうと思った
でもがんばれなかった
わたしはがっかりした
心底がっかりした
わたしだって
ゴミじゃなくなれると思ったのに
わたしはやっぱり
ゴミだったから

おまえはゴミなんかじゃないと
もっとなにかきれいなものだと
言ってくれるひともいたけど
わたしはわたしの醜さを
そのひと以上によく知っていたので
どうしてもそんなふうには思えず
だから結局
わたしはいつも
やっぱりゴミだった

ある日
あるひとが現れて
おまえはゴミだと言った

わたしは
ああ
やっぱりわたしはゴミなのだと思った
ちょっとがっかりしたけど
わたしは間違っていなかったのだと
ホッとして息をついた

わたしが深い呼吸を繰り返していると
そのひとはそこで言葉をやめず
こう続けて言った

おまえはゴミだが
ゴミでもいいのだと
ゴミはゴミで美しいのだと
ゴミでも生きていていいのだと

わたしは
そこで
はじめて
救われた

わたしはそれから
ゴミじゃなくなろうとするのをやめた
わたしはゴミになろうと思った
もっと汚い
もっと醜い
ひとに嫌悪されるような
邪魔でいらないような
美しくだれにも似ていない
側溝のゴミに

自分はゴミだとがっかりしている
前のわたしみたいなひとが
道を通りがかって
側溝の底にころがるわたしを見て
ああ
こんなゴミでも
この世に存在していいのなら
ああ
ぼくもこのまま
ぼくのままゴミであろう、と
そう思ってもらえるような
世界でいちばん汚いゴミに









2018年6月11日

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