蝶々のヨット

蝶々のヨット
荒木田慧の詩集 「心の詩」より
小学校のころ
学校で詩をかいた

ほめられたくて

放課後
つくえからえんぴつがおちて
その音が
だれもいない教室にひびく

という内容の
子供が書いたら大人が喜ぶだろうと
そう子供がかんがえそうな
わざとらしい詩をつくった

いえにかえって
おかあさんにそれをみせた

わたしは
おかあさんはなんといって
それをほめてくれるだろうと
どきどきした

でも
おかあさんはそれを読んで
なにもいわずに

ほかのだれかがかいた
蝶々がヨットのようだ
という詩
あの詩はいい詩だね

といった

わたしは
わたしのかいた詩は
ダメだったのだとおもった

わたしは
わたしのうつくしくないこころが
おかあさんにばれてしまったような気がして
こわくなり
詩を書かなくなった


わたしはダメだ
とおもうとき
わたしのまえを横切る

ちいさな白いヨット









2018年4月30日

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